オススメのボードゲーマー5選

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 ボードゲームが好きだ。サイコロを転がしてコマを動かしたり、カードをめくって一喜一憂するのが好きだ。

 

 あなたはボードゲームを知っているか? 人生ゲームを思い浮かべた? それで大体あっている。人生ゲームにも辛口版とかミラクルドリーム版とか令和版とかあるだろう。例えるなら人生ゲーム剣と魔法の冒険版とか人生ゲーム宇宙開拓版とか人生ゲーム獄中日誌版とかそういうボードゲームがこの世にはたくさんある。

 

 私はそういったボードゲームを好み遊んでいるのだが、ボードゲームには欠陥がある。ほとんどのゲームはひとりでは遊べないというところだ。人生ゲームをひとりでプレイしたことがあるか? それはただの非現実的な人生のシミュレーションに過ぎないだろう。ルーレットを回しているだけで就職して結婚できるだと? 非現実的というしかない。

 

 そう、他のプレイヤーだ。あなたがボードゲームをプレイしたいと思った瞬間、隣に暇な友人が居れば別だが、そうでなければボードゲームの箱を開ける前にプレイヤーを集める必要がある。そしてこれが難しい。そもそも友人が全然いないという場合もあるし、友人は戦争に行って帰ってこないとか、友人だがウサギだからサイコロを振れないという場合もある。

 

 だからあなたは、他のプレイヤーを選ぶことができない。そして妥協に妥協を重ねてプレイヤーを集めた結果、望まぬプレイヤーを集めてしまうことになる。ものすごく性格が悪くてギネスに認定されている奴とか、前科が八犯あるし余罪もあるらしい奴とか、ジャージャービンクスとかと一緒にゲームをすることになる。

 

 そうすると、悲しい事実に気づくことになる。ボードゲームが楽しくないのだ。しかしそれは当たり前のことで、ボードゲームの楽しさは「何を」プレイするかではなく「誰と」プレイするかということが重要だからだ。そしてこれは残酷だが真実なのだ。

 

 では、誰とプレイするのが重要なのか? どういったプレイヤーと遊べばボードゲームは楽しいのか? その疑問はひとつの命題であった。そしてその答えを、私が今日、ここで発表する。だから今日は、オススメのボードゲーマー5選だ。選び抜いた5つの素質だ。それを紹介する。

 

オススメのボードゲーマー5選

1.よく笑う奴

 一つ目にして究極の答えだ。あなた達がボードゲームをプレイしているとき、「つまらないなぁ」と感じるときは果たしてどういうときか? サイコロの出目が非常に悪くてどうしようもないとき? 対戦相手がアホほど弱くて萎えてるとき? 議論が口論になり最終的にサルの喧嘩みたいになっているとき?

 

 そのどれも違う。答えは「静かなとき」だ。何をやってもプレイヤーの反応が乏しく、ただ淡々と事態が進行していく。山札からカードをめくっても、ただ書かれたカードの効果を実行するだけだ。まるで葬式だ。するとあなたはなんとなくつまらなく思い、少しづつゲームへの熱が冷めていく。そうしてゲームが終わったとき、あなたは「やっと終わった」と思って早々にゲームを片付け、スマホをいじって、Youtubeを開き、そしてあなたの日曜日は終わる。

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 しかしそこに「よく笑う奴」が居ると、そうはならない。彼らは何につけても反応する。サイコロの出目が良ければ歓喜に笑うし、逆に出目が悪ければ不運を笑う。アホが居ればアホだと笑うし、自分がアホでも笑っている。喧嘩を見れば「盛り上がってるな」と笑い、勝負の結果が良くても悪くても笑っている。

 

 そう、彼らがいると「静かに」ならないのだ。いつも笑い声が聞こえる。反応がある。どんなにゲームに本気になって緊張感が増しても、雰囲気が悪くなることはない。彼らは笑い声で場を掌握するのだ。すると不思議とゲームが楽しく思えてくる。あなたも笑い、他のプレイヤーも笑うだろう。楽しくなると食べ物も美味しいし、明日も日曜日になる。それほどまでに、「よく笑う奴」は良いボードゲーマーだ。

 

 2.しっかり悔しがる奴

 勝利の美酒を一層引き立てるものは何か知っているか? それは敗者の悔し涙だ。勝った自分がワイン片手に頬杖をついているとき、地面に這いつくばって無念と呻いている敗者の姿を見ると胸がすくような気持ちだ。彼らは競争心の強い個体だ。敵を打ち負かして自分の強さを誇示したいと考える人間だ。そしてそれを打ち負かすのが一番気持ちが良いということは、エンターテイメントの基本である。

 

 では何故彼らはそんなに悔しがるのか? それは「次の勝利のために」という彼らの精神によるものである。負けた経験から学び、次のゲームに生かそうという精神だ。屈辱を忘れれば成長を忘れる。屈辱を忘れればゲームに負ける。屈辱を忘れれば次の屈辱を味わう。そしてそれらを乗り越えて味わう勝利の美酒こそが、彼らにとってのご馳走なのだ。また、そういった彼らとプレイすることは、ダイナミックで変化のあるプレイになりやすく、それもまた楽しいボードゲーム体験になる。

 

 ここでひとつ注意が必要だが、「悔しがる」のと「恨む」ことは違う。あなたの周りに何かを履き違えて「恨む」に精神が傾いている奴がいたときは……まあ、握りしめた右手でパンチすることが最も現実的な解決策だろう。また、皆が本気で勝利を目指しているなか「こんなゲームにマジになっちゃってどーすんの」とスカした態度を取る奴は戦士になれなかった腰抜けなので気にしなくていい。

 

3.勢いのイイ奴

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 ヒトは、未知を恐れる生物である。そしてそれは何事にも存在する。もちろんボードゲームにもだ。新しい選択肢、今までにやったことの無い戦略、ときに無謀とも思えるようなアクション。確かに未知の領域に踏み込むのは恐怖を伴う。しかし、そこにドラマがあるのだ。そして、その未知に切り込むのは、いつでも「勢いのイイ奴」だ。

 

 要するに彼らは「イケるだろう」という黄金の精神の持ち主だ。理屈とか論理とかではなく、ただ自分の中にある全能感に身を任せ、選択肢を選び取る。マヌケと紙一重だが、彼らには彼らの行動原理がある。そしてそれは、何かの一歩を踏み出すのに必要な素養なのだ。

 

 あと単純に、勢いのイイ奴とのボードゲームはテンポが良くて快適だということもある。

 

4.自分が一番カワイイ奴 

 ボードゲームに限らず、ゲームの良いところとは何か? その答えの一つに「敵意をむき出しにして戦うことができる」という点がある。日常、我々は本性を隠して社会に溶け込んでいる。あなたがコンビニでレジを打っているとき、ふとマスクをつけていない客がやってきて、レジカウンターで咳やらクシャミなどをバラまいていく。「コイツ正気か?」あなたはそう思いつつも笑顔で対応し「ありがとうございましたー」などと心にも無いことを言う。立てた中指は心の奥に隠しながら。それが社会だからだ。だがその中指を相手に突きつけて良い場がある、それがゲームだ。

 

 対戦型のゲームなら、それが許される。殴られたら殴り返して良いということだ。別にこっちから先に殴っても良い。しかも、ボードゲームなら相手の顔を見ながらそれをすることができる。なんと素晴らしいことか! それができるのは全て、「勝利のため」という大義名分があるからだ。「勝利のため」なら迷惑な攻撃は勇猛果敢な一撃に変わる。勝者の席が一つならばそこに自分が座るため、周り全員を蹴落とさなければならない。そしてその行為に罪悪感を持つ必要はなく、むしろ罪悪感を持つ方がゲームによっては悪と言える。つまり、自分が一番カワイイ奴が集まって行うゲームこそが、本当に熾烈でエキサイティングなゲームになりえるのだ。

 

5.丁寧な奴

 ボードゲームには、往々にして「運」の要素を孕むものである。その偶然に抗い、少しでも良い結果が出るように試行錯誤するのが楽しみのひとつでもある。そしてその「運に抗おう」とする奴はたいてい丁寧な奴だ。彼らは状況をよく見て、仮説を立て、次善の策を考える。そしてそういう奴がいると、ゲームに深みが生まれるのだ。

 

 経験は無いだろうか? いつものメンバーで行ういつものゲーム、それはもう何度も遊び尽くしたゲームであり、取るべき戦略は決まっている。ランダムな要素はあるが、それを見て次の一手を決めるのはあなたにとって半ば自動的だ。なぜなら、それがあなたにとって効率的だからだ。しかし、ゲームは効率でやるものではない。効率的にやるのは平日のファッキン・労働だけでいい。楽しむはずのゲームを効率で行ってはいけない。そうすると遊び尽くしたゲームはさらに色褪せ、あなたの瞳は濁り、「もう飯食いにいかねえ?」と誰かが言い始め、よくわからない揚げ物を食べて、あなたは余計な脂肪をつけることになる。

 

 しかし「丁寧な奴」が場にいると違う。彼らはいつでも考えている。「経験的に」分かっていることにも疑いの目を向けている。つまり、ソビエトの入国審査官のようにゲームに対して疑心を抱いているのだ。「この手は本当に最善手か?」「もっと状況をよくできる手はないのか?」「このゲームのランダム要素は、本当に完全なランダムか?」…………それらの疑問の99%は徒労に終わるだろう。それこそ効率的ではない。しかし残りの1%を見つけたとき、プレイヤーの間には激震が走る。新しい戦略、新しい展開、そして新しい結末…………遊び尽くしたと思っていたゲームは輝きを取り戻し、ダイスを握る手は興奮に震え、脳内にはアドレナリンが放出される。その週末は輝かしい思い出の1ページになり、あなたは死の間際、その記憶を思い出して笑顔でくたばることができるだろう……。

 

・そして自分に返る……

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  以上が、オススメのボードゲーマー5選だ。これに該当するプレイヤーを集め、ゲームを行うと良いだろう。それでは、さらばだ…………などと言って文章を締めることができないということぐらいはわかっている。そう、ここまで読んであなたは思ったはずだ、「それで、お前は?」と。大層な事を言っておいて自分ができていないようでは、言葉の意味は薄れる。それだけのことを言うならおまえはそれ相応のプレイヤーなんだろうな……?

 

 答えから言うとそれはNOだ……。あくまでこれは私の目指す姿だ。しかしこれを読んで、その疑問が浮かんだならばあなたはスタートラインに立っているとも言える。つまり長々と書いたこの文章は、自戒でもある。こうしてインターネットに刻み付けることで、自分が未来へ進む際の羅針盤とするのだ。

 

 クラウス・トイバーは、「また明日あなたと遊びたいと、言われるようなプレイで遊びましょう」と言ったらしいが、結局はそういうことなのだろう。 今回はこうして、ボードゲーマーとしての心構えを私は刻んだ。ここに来た奴が何を読み取ろうと勝手だが、あなたがボードゲーマーであるならば私と卓を囲むこともそう遠くない未来だろう。私が差し向けた盗賊があなたの重要な資源を奪い取るということだ。(あるいは、その逆。WTF!!)その時まで、ダイスを磨いて待っているとしよう…………。

 

 

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